引っ越しからのその日暮らしという話をしたのですが、その日暮らしといえば思い出すのは日雇いです。
最近、闇バイトなるものがよく話題になりますが、いわゆる日雇い労働のサイトみたいなのは割と前からあって、今から17年ほど前ですかね、僕も何度か利用したことがあります。○○ワークスみたいなの。
例えば選挙の世論調査のバイトとか、試験監督とか、いろいろやりました。
25歳の時に出した初の著書では東京に来てすぐ就職したって書いたんですが、実はアレは嘘でして(笑)。
なんでそんな嘘をつくのかってことなんですが、別にカッコつけたいわけでも何でもなく、ただ編集者とかに説明するのが面倒だったんですよね。むしろ、バイトから頑張って這い上がって来たみたいなくだらない苦労話みたいなのをしたくなくて、普通に働いてただけですみたいな、平凡にしたかったというか。ダサいじゃないですか、大したことしてないのに俺こんなに頑張ったみたいな話するのって。
自分のことをいろいろ話すってのは面倒というか好きじゃないというか。たぶん、おしゃべりな男というか、簡単に自己開示をする男に自分自身が魅力を感じないのかもしれません。
まぁ、男ってのはちょっとミステリアスな方がカッコいいでしょ(笑)。
そんなこんなで東京に来てからはいろんなバイトをしたりして食べていたんですが、そんな中で日雇いもしたんですよ。
試験監督とかそういうのはまだ表というか、日雇いの中でも明るい感じなんですが、いわゆる会場設営とか、そういう系は割とブラックでして。
いつだったか国際展示場だったかな、駅前に集められて日給1万円ももらえないくらいのバイトに応募したことがあるんですね。
今でいえばホワイト案件で住みたいな感じで、
「軽作業です♪」(怪しすぎ)
みたいに書いてあったから行ったら、なんかヘルメット渡されて、えらい仰々しかったんですよね。
「危険が伴うから」
みたいなことを言われて。聞いてねーぞと。オマケに周囲を見渡しても、なんかイカツイ人が多くて。やっぱ偏見じゃないけど、そこは肉体系の日雇いだとそうなるんですよね、どうしても。毛色的に。
こりゃやべぇぞとなって、とりあえず主任みたいな人について行きながら歩いたのですが、その中でハタと考えたんですよね。
「この仕事でもし事故でも起こしてケガしたとして、一体だれが助けてくれるのだろうか」
「本来聞いていたものと内容が明らかに違うのだから、逃げても罪にならないのではないか」
「ヘルメットを被るってことは肉体労働系だろうし、自分にできるのだろうか」
「そもそもこんなところで真面目さを発揮しても自分を苦しめるだけではないだろうか」
アタマの中でブツブツといろんなことを考えながら、駅からちょっと距離があったので隊列の後方を歩きながら、でも憂鬱な気持ちでした。
とはいえ、働かないと当時の生活を考えると家賃どうしようって話ですし。馬券買えなくなっちゃうし。
でも、常に頭にあったのは優先順位でした。
「家賃を払うことと、身の安全とどちらが大事だろうか」
今だから笑い話ですが、まだ当時23歳でお金にも余裕がなかったので、割と切実ですよ。
その時間ってほんの5分にも満たなかったと思うのですが、今でも少し大げさにいえば人生の分岐点だった気がして、今でも鮮明に覚えているんです。
そうこうしているうちに、徐々に会場が近づいて来て…。
もう会場に入ってしまったら最後という気がしました。覚悟を決めて経験だと思って働くか。そしたら案外達成感があるのか。
しかし、ヘルメットを渡されるってのはおかしい。そもそも会場設営ってなに。高いところとか無理だぞ。
結果…23歳の自分はどうしたのか?
え~……
書いていいのかわからないので、とりあえず次回に続くってことで。
Source: TAROの競馬
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